アロマトリートメントをしている途中で、彼女は私に話しをはじめました。
「私、いいお母さんになれなくて・・・。」
ご主人の仕事の関係で、慣れない土地に1歳の子供と引っ越してきたそうです。
昼間は子供と2人きりで友達もおらず、育児の相談をする人もいなかった。泣きわめく子供を気づいたら叩いていた。
「たまには1人で外の空気を吸ってくれば?」見かねたご主人が言ってくれたそうです。
出産後の初めての1人の外出に選んだのがアロマトリートメント。
独身の頃は時間はいくらでも自由に使えた。最近は家事と育児に追われ1人になりたくてもなれない。トイレまで子供が入ってくる。
毎日イライラしていたのでしょう。
私は彼女に「自分が満たされていないとまわりに優しくなれないものです。今日はゆっくりトリートメントを味わってください。
誰も完璧なお母さんじゃない。お母さんとして子供に育ててもらってるようなものですよ。」と、そんなお話しをさせていただきました。
彼女のためになるかどうかは分からないですが、私の経験談です。
「いいご主人ですね。今日、こうしてお会いできたのもご主人のおかげ。アロマに興味を持ったのもお子様のおかげ。」と伝えたら、彼女は泣いていました。
トリートメントに選んだ精油は、カモマイルローマンがメインのブレンド。
最初はイライラするという理由で選び出した精油でしたが、どこかピンと来ておすすめしたカモマイルローマン。私の勘はなかなか当たるのです(笑)
トリートメント後少し元気になった彼女は、
「今日はありがとうございました。あれだけ1人になりたいと思っていたのに、もう子供に会いたくなってきました。」と言ってお帰りになりました。
カモマイルローマンは母なるハーブと言われています。
カモマイルローマンの香りに包まれた彼女は、少し自信を取り戻してくださったみたい。
あれから10数年。
私は、今もカモマイルローマンの香りは、お母さんの香りだなあと感じます。