香りと右脳・左脳の関係-人間の脳と嗅覚|アロマセラピーに役立つ解剖学・生理学

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香りと右脳・左脳の関係

1970年頃、何らかの原因により、脳の中で右脳と左脳が分離されてしまった人の協力を得て、右の鼻孔と右脳、左の鼻孔と左脳についての実験が行われました。

この実験の結果は、左の鼻孔に香りが差し出されたときは、香りの名前を支障なく言えたのに対して、右の鼻孔に香りが差し出されたときは、香りの名前を言うのは非常に困難でした。しかも、右脳は香りにより幸せな気分になるなど感情的に反応したというものです。

この実験から2つのことがわかります。1つは、左脳よりも右脳の方が、幸福感などの感情や想像や快楽のような機能に深く関わっているということが示されました。この嗅覚と右脳の関係は、アロマセラピーで幸福感が生み出されるという説明の助けになるということです。

もう1つは、左の鼻孔から入った香りは左の脳を刺激し、右の鼻孔から入った香りは右の脳を刺激するということです。

通常、右半身で受容した刺激は左の脳ヘ、逆に左半身で受容した刺激は右の脳へと伝えられます。もし、香りの刺激が通常の場合と同じであれば、右脳と左脳が分離されている人に右の鼻孔で香りをかいでもらっても、香りを感じとることができなかったでしょう。

つまり、右の鼻孔からは右の脳へ、左の鼻孔からは左の脳へ香りの刺激は伝わるのです。これは、香りという刺激の伝達速度が非常に速いことからもうなずけます(痛覚に対する反応が0.9秒なのに対して、香りを認識するのには0.15秒といわれています)。

試しに、初めての香りの精油のふたを聞けるとき、初めは右の鼻孔を塞ぎ、左の鼻孔だけで香りを感じてみてください。そして続いて右の鼻孔だけで、最後に左右の鼻孔で香りをかいでみてください。おそらく、それぞれ香りが微妙に違うでしょう。不思議ですね。


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