皮膚の浸透に影響を与えること-精油の皮膚への吸収|アロマセラピーに役立つ解剖学・生理学

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皮膚の浸透に影響を与えること

皮膚のコンディションに因ること

皮膚が健康かどうか

表皮が身体のバリアになっていることからも解るように、表皮がけがや病気などで壊れている場合と、健全な場合では精油の浸透にも差がでます。壊れた皮膚に精油は速やかに浸透します。皮膚にトラブルがあるときは濃度を薄くする必要があります。

塗布する部位

健康な皮膚でも、角質の厚みによって浸透に差がでます。耳の後ろ、まぶた、腕の内側などは浸透しやすく、手や足はよくありません。また、脂肪組織の多い尻や腹などは、手や足より更に浸透しにくくなります。(脂肪層で精油が滞留する傾向があることが知られています。)

脂腺や汗腺の有無

脂腺や汗腺が多くある皮膚の真皮層への精油の浸透は容易です。脂腺や汗腺は真皮層に皮脂や汗を作る器官があり、真皮層にたどり着きます。さらに皮脂や汗を作る器官の周りには、毛細血管が絡むようにあるので精油は血液循環に容易に入り込みます。

塗布前後の行為に因ること

皮膚を温め、血流を増大させること(スポーツや沐浴の後)

適度な温かさは精油の浸透を促進します。
温かい室温の部屋で暖かいベッドに横たわり、暖かいキャリアオイルにプレンドされた精油を、トリートメントによって皮膚を摩擦されながら(血流を促進しながら)塗られた場合は、そうでない場合に比べて精油は容易に浸透します。また、皮膚を温めてから塗るととも精油の浸透性を高めます。

皮膚が湿っているか乾燥しているか

水分を多く含む皮膚の場合は、精油の真皮層への浸透は容易になります。精油を沐浴時に使うと、お湯の 100倍も速く透過することが知られています。(Romelt,1974)

皮膚を洗浄すること

皮膚を洗浄した直後に精油を塗った場合は、そうでない場合に比べて皮膚の真皮層への浸透は容易になります。かといって、洗浄しすぎると皮膚を刺激しすぎることがあるので注意が必要です。

皮膚を密閉すること

皮膚を密閉すると、放熱しないので皮膚を温めます。また、精油が揮発しにくくなるので、その分、精油は皮膚に吸収されます。精油を塗布して密閉すると通常より相当吸収します。(塗布した量 75% にも及ぶこともあります。それに対し、皮膚を開放していた場合は 4~25%くらいの浸透になります。)

塗布するものに因ること

精油の分子の大きさ

精油の分子が小さいほど(揮発性が高いほど、TOPノートであるほど)透過の速度は速くなります。しかし、同時に皮膚から離れて空気中に飛んでしまう可能性も高いです。精油の分子が大きいほど(揮発性が低いほど、BASEノートであるほど)浸透の速度は遅いのですが、揮発しないで皮膚上に留まる時間も長くなります。

キャリアオイルの粘性の違い

粘性が高いキャリアオイル(オリーブオイル、スイートアーモンドオイル)はゆっくりと皮膚に浸透します。逆に粘'性が低いキャリアオイル(亜麻仁油)はそれに比べ速く浸透します。これはキャリアにブレンドされた精油の浸透の速度に影響を与えます。


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