血液と尿の関係
尿は血液から作られます。というよりも、血液(広い意味では体液)の状態をいつも一定の状態に保つために腎臓はリアルタイムにどのような尿を作るかを判断して尿を作っています。
血液は比重が1.06で、弱アルカリpH7.35~7.45の液体です。血液の血球成分以外の水分である血漿は 100種類以上の物質が溶けています。出血した傷口を舐めたとき、しょっぱい味を経験したことがあるでしょう。
これは血漿に溶けている金属イオンによるものです。この他、血液には栄養物、二酸化炭素、ホルモン、血漿タンパク、 老廃物、細胞の代謝産物などが含まれます。
一日の生活の中において食事をしたり、運動をしたり、入浴したり、就寝したり、様々な活動があるわけですが、その時々に応じて、血液の中にある栄養分が使われたり、逆に細胞の代謝物質が血液に取り込まれたり、傷を負ったときは組織を修復するために通常より血漿タンパクが使われます。
しかし、どのような活動を私たちがしたとしても、血漿に溶けている物質の濃度は殆ど一定です。この調節を主に腎臓が尿を作ることで司っています。
尿以外では、pHの調節は呼吸、溶けている物質の濃度は汗によっても行われます。血液のpHが常時 pH7.35~7.45なのに対して尿のpHは4.5~8.0と幅があります。酸性食品を多く摂取したときには酸性の尿が排出され、アルカリ食品ばかり摂取しているとアルカリに傾いた尿が排出され、結果として血液のpHは一定に保たれます。尿を作る腎臓は、並々ならない働き者です。
大人は 1日に 約1.8リットルの尿を排出しますが、尿の前段階として原尿をなんと1日に180リットルも作ります。尿が牛乳1リットルパック 2本分なのに対して、原尿は家庭用の大きめの浴槽 1 杯分です。
リアルタイムに血液の状態を脳(下垂体)と腎臓で監視し、 身体に不必要な分だけ尿として排泄し、必要な物質は吸収して血液に戻しています。