ヨーロッパ中世
ヨーロッパ中世・近代(6~17世紀頃)は 、香り文化が成長し、発展していった時代とも言えます。
本来の花の香り(9世紀)
古くは、動物や魚の油脂、あるいはワインのベースに花を混入させ、花の香りと称していました。したがって、本来の花の香りとは違っていました。しかし、アルコールの発見(イスラム)や蛇管(じゃかん)と蒸留器の発明により、花本来の香りを抽出し、保存することが可能になりました。
十字軍の遠征(10~11世紀)
・バラ水
アヴィケンナ(イブン=シーナ)は卑金属(金以外の金属)から金を作るという錬金術の過程の一部で、バラ水を用いていたところ、バラから精油とバラ水が採れることを発見しました。
バラ水は十字軍によって、ヨーロッパに伝えられましたが、バラ水の他にもサンダルウッドや高価なスパイスなどが持ち帰られました。しかし、キリスト教の教えでは禁じられている誘惑物として抵抗も受けました。
・ハレム水
オリエンタル地方のスパイスやバルサムや香油です。恋人たちのお土産になりなした。(以降、香料の貿易を専門に行ったのがベニスの商人です。)
香料貿易
新大陸が発見され、香料貿易も世界規模になり、大航海時代が始まりました。ヨーロッパ人は、金とも価値を同じくしたという胡椒をはじめ、さまざまなスパイスや薬用・芳性な香料を探し求めました。
ラベンダー水(12世紀)
12世紀、ドイツのベネディクティン派の尼僧ヒルデガルトが発明したと言われています。その後、イギリスやフランスでも作られ、特に1370年、シャルル5世は庭にラベンダーを植えさせ、自らラベンダー水を作っていたといいます。現在では、イギリスの香りの代表として、優雅で品のある香水として売られています。
ハンガリーウォーター(ハンガリアン香水・12世紀)
フィレンツェの修道尼マリア・クレメンティネが伝えたと言われています。ハンガリー王妃(当時70歳)の通風と若返りの妙薬として知られており、その効果は隣のポーランドの国王に求婚されるほどでした。1370年には、エリザベス女王にも捧げられています。