ケモタイプ精油とは?
メディカルアロマテラピーを語る上で、忘れてはならないのがケモタイプ精油です。
ケモタイプ(ChemoType)のケモとは、化学を表す言葉で、日本語では化学種と訳されます。
植物は、その土地の気象条件や土壌、収穫時期等により、同じ植物でも内容成分が大きく変わります。
なぜなら、定位置で育つため、その土地の風土に合わせて生きのびていけるように、組成する成分が変化する性質があるからです。
ですから、たとえばラベンダーでも、北海道で育つラベンダーと、南仏のラベンダーでは、花の色や形、そしてもちろん精油にした時の香りにも違いがあり、成分を分析すると、かなり大きな変化が出るのです。
このように、同じ学名の植物でも、成分が大幅に異なるものを化学組成別に分類したものを、ケモタイプと言います。
具体的にタイムの例で見ると、学名のThymus vulgarisだけでは、分類しきれないので
Thymus vulgaris CT1(Linalool)
Thymus vulgaris CT6(Thymol)
のように、さらに分類します。
この2つは、学名は同じですが、自然環境や蒸留時期等により、Linalool(リナロール)を多く含んだ精油をCT1(ケモタイプ1)、Thymol(チモール)を多く含んだものを、CT6(ケモタイプ6)と言います。
フランスでは、治療目的で精油を使用するので、成分を細かく分析して、化学組成を明らかにしておかないと、症状や個体差に対応できません。
そのため、芳香成分を細かく分析してケモタイプまで明らかにすることに加え、別の精油の混合がないか、農薬や防腐剤の検査などのさまざまなチェックが必要になるわけです。